殺し屋たちの狂宴!伊坂幸太郎『グラスホッパー』を映画キャストと楽しむ


今回は私が大大大好きな「伊坂ワールド」の真骨頂である、スタイリッシュな殺し屋サスペンスをご紹介します。
本作は伊坂幸太郎さんの代表作であり、のちに『マリアビートル』『777』へと続く大人気「殺し屋シリーズ」の記念すべき第1作目です。2015年に豪華キャストで実写映画化され、その独特な世界観が大きな話題を呼びました。
まずはブログの基本ルールである書誌情報から記載します。
  • 著者:伊坂幸太郎
  • タイトル:グラスホッパー
  • 出版社:角川書店(文庫版は角川文庫)
  • 出版日:2004年7月30日(※文庫版は2007年6月23日発売)
あらすじ:スクランブル交差点から始まる、3人の男の運命
物語の舞台は、欲望が渦巻く混沌とした大都市。ある日、渋谷のスクランブル交差点で、元中学校教師の鈴木の妻が車に跳ねられて命を落とします。それは事故ではなく、悪党のバカ息子による殺人でした。
復讐を誓った鈴木は、犯人の父親が経営する裏社会の組織に潜入します。しかし、まさに目の前で復讐のターゲットが「押し屋」と呼ばれる謎の殺し屋に突き飛ばされ、車に轢かれて死んでしまいます。鈴木はボスの命令で、消えた「押し屋」を追う羽目になります。この事件をきっかけに、全く関わりのなかった3人の男たちの運命が激しく交錯し始めます。
映画キャストが体現する、強烈すぎる殺し屋たちの横顔
本作の魅力は、何と言っても登場人物たちの際立ったキャラクター性です。実写映画版では、日本の映画界を引っ張る実力派俳優たちが、原作の持つダークでポップな魅力を完璧にスクリーンに定着させていました。
  • 鈴木(演:生田斗真)
    妻の復讐のために裏社会に飛び込んだ、元気弱な教師。生田斗真さんが見せる、周囲の異常な殺し屋たちに振り回され、怯えながらも、妻への愛を胸に必死に突き進む「普通の人」の演技が見事でした。観客が一番感情移移入しやすいキャラクターです。
  • 鯨(演:浅野忠信)
    ターゲットを自殺に追い込む能力を持つ、不気味な殺し屋。浅野忠信さんの圧倒的な佇まいと、過去に葬った人間の幻影に苦しむダークな演技は鳥肌ものです。そこにいるだけで空気を変えてしまう重厚感がありました。
  • 蝉(演:山田涼介)
    驚異的な身体能力でナイフを操る、若き天才殺し屋。山田涼介さんが見せた、これまでの爽やかなイメージを覆す狂気的な笑顔と、キレキレのアクションシーンは圧巻のひと言です。孤独と苛立ちを抱える「蝉」の繊細さも見事に表現していました。
  • 比与子(演:菜々緒)
    裏組織の冷酷な幹部。菜々緒さんの抜群のスタイルから繰り出されるドスの利いたセリフと冷徹な美しさは、まさに原作のイメージそのもので、物語の緊張感を一気に跳ね上げていました。
孤独な「バッタ」たちが群れるとき
タイトルの「グラスホッパー」とは、トノサマバッタのことです。バッタは密集して育つと、黒く狂暴な「群生相(ぐんせいそう)」へと変異します。
東京という過密な都市で、孤独や絶望を抱えて生きる登場人物たちもまた、環境によって狂暴化したバッタのようです。伊坂作品らしいテンポの良い会話劇の中に、現代人の孤独や「生と死」の本質が鋭く散りばめられています。
バラバラだった3人の視点が、終盤に向けて美しく収束していくプロットの妙は、まさに快感です。映画のスタイリッシュな映像美を脳内で再生しながら、ぜひ原作の軽妙な文体を楽しんでみてください!
実はこのシリーズ、私は「マリアビートル」がお勧めです!!!