世紀の二大ヒーローが激突!モーリス・ルブラン『ホームズ対ルパン』を脳内キャストで大解剖


今回は、ミステリーの歴史において「最も贅沢で、最も罪深い」と言われる、元祖・夢のクロスオーバー作品をご紹介します。フランスが生んだ稀代の怪盗アルセーヌ・ルパンと、イギリスが誇る世界最高の名探偵シャーロック・ホームズ。この二人が同じ世界で知恵比べを繰り起こすという、当時の読者をも狂喜乱舞させた不朽のクラシック・ミステリーです。
まずはブログの基本ルールである、正確な書誌情報から記載します。
  • 著者:モーリス・ルブラン
  • タイトル:ホームズ対ルパン
  • 出版社:新潮社
  • 出版日:1959年11月30日(※新潮文庫版の初版刊行日。フランスでの原著発表は1908年)
あらすじ:フランスを舐めるな!怪盗と名探偵の意地がぶつかる知略戦
物語は、フランスの貴族から美術品や大金が盗まれる事件から始まります。犯人はもちろん、変装の天才にして義賊のアルセーヌ・ルパン。フランス警察が全く手も足も出ない中、被害者たちはついに、海を越えてイギリスから「あの男」を呼び寄せます。それこそが、いかなる謎も解き明かす名探偵シャーロック・ホームズ(作中では大人の事情により『エルロック・ショルメ』)でした。
紳士的でユーモアを忘れないルパンは、イギリスから来た偉大な探偵を歓迎しつつも、自分のプライドをかけて極上の罠を仕掛けます。一方のホームズも、その驚異的な観察力と冷徹なまでの推理力で、ルパンの変装を次々と見破り、あと一歩のところまで追い詰めていきます。フランスの古城やパリの街を舞台に、息をもつかせぬ騙し合いが展開されます。
もし現代の最高峰で実写化するなら?脳内ハリウッド・キャスト
本作は過去に何度もアニメや舞台、海外ドラマのモチーフになってきましたが、もし現代のハリウッドで「完全原作準拠」の映画が作られたら……という妄想が止まりません。世界を代表するあのスターたちの競演を考えてみました。
  • アルセーヌ・ルパン(演:ティモシー・シャラメ)
    華麗で、ユーモアがあり、女性には滅法弱いけれど、泥棒としての腕は超一流の天才。現代の若きカリスマ、ティモシー・シャラメが持つ、あの気品とどこか掴みどころのない妖艶な魅力は、シルクハットとマントを纏うルパンにピッタリです。不敵な笑みを浮かべて探偵の手をすり抜ける姿が目に浮かいます。
  • シャーロック・ホームズ(演:ベネディクト・カンバーバッチ)
    冷徹で非の打ち所がない、イギリスの天才探偵。海外ドラマで現代版ホームズを完璧に演じた彼に、あえて今回は19世紀末のクラシックなホームズとして、ルパンの前に立ち塞がってほしいです。彼のあのマシンガントークと鋭い眼光でルパンのトリックを暴いていく姿は、観客を最高にワクワクさせるはずです。
  • ワトソン(演:マーティン・フリーマン)
    ホームズの相棒(作中では『ウィルソン』)。やはりホームズの隣にはこの人しかいません。ルパンの策略に引っかかって右往左往する、コミカルで人間味溢れるワトソンを、絶妙な愛嬌とともに演じてくれるに違いありません。
著者の「ルパン愛」が炸裂する、エンタメの原点
本作を語る上で外せないのは、この本が「ルパンの生みの親」であるモーリス・ルブランによって書かれたという点です。つまり、ホームズ側から見れば、思いっきり「敵陣のホームグラウンド」での戦いになります。
そのため、ホームズは非常に優秀で手強いライバルとして描かれつつも、最後にはルパンの華麗な手際が一枚上手をいく、というフランス的なユーモアと、著者による自キャラクターへの愛に満ちた結末が用意されています。シャーロキアン(ホームズファン)から見ると「おいおい!」とツッコミたくなる部分もあるかもしれませんが、そのお祭り騒ぎのようなエンタメ精神こそが、100年以上経った今でも愛され続ける理由です。
現代の複雑なミステリーの原点であり、キャラクター小説の元祖とも言える一冊。活字から溢れる躍動感を、ぜひ楽しんでみてください。